【NICU助産師監修】妊娠中の栄養指導【標準看護計画・指導案】

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この記事を読んでわかること

妊娠期の栄養の必要性・内容について理解できる

妊娠期に必要な看護計画・指導内容が理解できる

妊娠中の肥満や栄養不足がもたらすリスクや胎児への影響について理解できる

妊産婦が必要な栄養摂取カロリーの考え方について理解できる

前提

妊娠期に必要な栄養の内容をもっと詳しく知りたい妊婦さんやパートナー

看護学生さんや助産学生さんの実習に向けた看護計画・事前学習・指導案に活用したい

産婦人科、NICU勤務の看護師さんへ向けた発信内容となっています

妊娠期の栄養 看護計画・指導案

妊娠期はこれまでの食生活を見直すいい機会

妊娠中は、つわり(悪心・嘔吐・嗜好の変化)や胃食道逆流症、こむら返りなどのマイナートラブルが生じやすいことや、各栄養素の付加量や妊婦貧血なども生じやすい。

嗜好品の制限や推定体重増加量も定められているため妊婦は食事に対して、ストレスを感じやすい時期でもある。

バランスの良い食事は、身体の調子を保ち心の調子も整えてくれます。

妊娠期に食生活を見直してもらうことは、妊娠中の過度な肥満や低栄養を予防するだけではありません。出産してからも授乳期や離乳期、その後の人生をより健康的にしてくれます。

看護目標

1.妊娠中の栄養バランスのとれた食事を楽しんでとることが出来る。

2.妊婦が栄養の必要性・内容について理解し、セルフケア能力を高めることができる。

3.一日の活動量にあった必要な栄養素の摂取ができる。

4.妊娠中の体重増加について理解し適切な体重コントロールのためのセルフケア能力を高めることが出来る

5.塩分を控えめにした薄味の食事を取り入れることが出来るように、食材の選択・調理法・味付けの工夫について理解することが出来る

6.適量で栄養バランスの良い食事をとることの必要性ついて理解することが出来る

7.不足しがちな栄養素や補うための方法や工夫について理解することが出来る。

O-P 観察項目

1.妊娠前の身長・体重・BMI値

2.現在の体重

3.現在の食事内容、外食の頻度、嗜好品、間食の有無と内容、食に対する価値観

4.母親の一般状態(VS,年齢,薬物,禁煙,飲酒,全身疾患)

5.産科・婦人科歴(月経,妊娠・分娩回数,妊娠・分娩・産褥・新生児の経過,婦人科疾患)

6.妊娠経過(最終月経と予定日,妊娠合併症,薬物服用,胎児情報)

7.家族歴(家系の遺伝疾患・父親の健康状態・血族結婚)

T-P ケア項目

1.順調に経過していること、出来ているところを称賛する。

E-P 指導項目

1.楽しく食べよう

・手間をはぶいて栄養を取ろう

・食卓の演出をしてみましょう

2.のんびり食べよう

・体重のコントロール

・太りすぎないために

・料理の仕方でカロリーダウン

3.しおは控えめ。薄味で。

・塩分控えめ、薄味料理のコツ

4.いろいろ食べよう

・品数アップのコツ ・アレルギーの話

5.ごはんの『質』にこだわろう。

・貧血予防に鉄分を

・カルシウムを意識して

6.妊娠期間中、毎日の体重測定

・妊婦自身への意識づけを図る

妊娠中の栄養指導が必要な理由と根拠

妊娠期は母体エネルギーの消費量に加えて、胎児の発育のためのエネルギー量を確保する必要がある。

妊娠期の体重増加は、胎児、胎盤、羊水、子宮及び乳房の発育や増大、血流量および細胞外液の増加による生理的な変化で起こる。

妊娠期には、母親の代謝の変化に伴うエネルギー消費量に加えて、胎児の正常な成長のために必要かつ十分な栄養とエネルギー量をそれぞれの時期や活動レベルに応じた栄養量を摂取し、確保する必要がある。

そのため、妊娠の食生活として気をつけたいことは、食事のバランス、食事量、活動量とのバランスである。

妊娠全期をとおしての推奨体重増加量(体格区分別)

低体重(やせ)BMI18.5未満:9~12㎏、

ふつうBMI18.5以上25.0未満7~12㎏、

肥満BMI25.0以上:個別対応(およそ5㎏を目安とする)である。

体重は至適体重増加量を参考に,その範囲内となるよう経時的変化を確認していく。

肥満妊婦

妊娠高血圧症候群,糖質代謝異常・巨大児の発症率,帝王切開率が高くなる。

エネルギー摂取制限による安全性も確立していないため、極端なエネルギー制限はすすめていない。

肥満妊婦の推奨体重増加量の5kgは脂肪の蓄積分が妊娠前のもので十分と考えられ、その分3~4kgを差し引いたものである。

妊娠中期から末期における1週間当たりの推奨体重増加量(体格区分別)

低体重(やせ)BMI18.5未満:0.3~0.5㎏/週

ふつうBMI18.5以上25.0未満0.3~0.5㎏

肥満BMI25.0以上:個別対応。

妊娠初期は、つわりがあるため個別に対応していく。

妊娠期に加算されるエネルギー量(1日分)

妊娠初期(16 週末満)

+ 50kcal(低脂肪乳100ml,バナナ1/2本,チョコレート2かけ,ウインナー1本弱程度)

妊娠中期(16~28週)

+ 250kcal(牛乳2カップ,サケ切り身2切れ,サツマイモ200g 1個程度)

妊娠末期(28 週以降)

+ 450kcal

身体活動レベルに応じたエネルギー摂取基準

身体活動レベル区分

I:生活の大部分が座位で静的な活動が中心の場合

Ⅱ:座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等・あるいは通勤・買い物・軽いスポーツなどのいずれかを含む場合

Ⅲ:移動や立位の多い仕事への従事者。あるいはスポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合

身体活動レベルⅠ

18~29歳1650kcal

30~49歳1750kcal

身体活動レベルⅡ

18~29歳1950kcal

30~49歳2000kcal

身体活動レベルⅢ

18~29歳2200kcal

30~49歳2300kcal

母体の低栄養や肥満が引き起こすリスクと問題

母体の低栄養が引き起こす胎児へのリスク

妊娠期に母体の低栄養状態が続くことで胎児の栄養不良が代謝異常を引きおこし、胎児発育不全や成人期の生活習慣病(高血圧症,糖尿病,脂質代謝異常,冠動脈疾患など)発症のリスクとなる。

体重が急激に増加することによるリスクも考え,目安量の範囲内でとどめるようにする。

母体の過度な体重増加が引き起こすリスク

妊娠中の体重増加によって、低出生体重児や、巨大児分娩、PIH発症、遷延分娩、帝王切開分娩、分娩時出血過多のリスクが高まる。

助産師からワンポイント

妊婦が主体的にバランスのよい食事に取り組むことが出来るように支援していくことが必要です。

現在の食事内容や調理方法、食事に対するストレスは感じていないか、食に対する価値観についても知っていく必要があります。

妊娠後期は、腰痛によって日常生活が制限される場合もあり調理などで長時間立位を保つことも疲労や苦痛を伴うことがあります。

身体的にも精神的にも負担を少なくした方法で、継続して取り組み、妊婦と胎児が安全に妊娠期~産褥・新生児期を過ごすことが出来るために支援を行っていきましょう。

便秘だけじゃない!がん予防にも食物繊維

日本人は平均的に食物繊維摂取量が不足している。

食物繊維は便秘の予防のほか最近では動脈硬化症,糖尿病,大腸癌などといった生活習慣病の予防に役立つことが分かっている。

不溶性食物繊維

殻類やきのこ類に含まれる

水溶性食物繊維

果物や野菜に含まれる

食物繊維は種類も多く、それぞれ働きが異なるため1つに偏らずいろいろな食品の組み合わせから摂取すること,毎日摂取することが望まれる。

減塩食

PIH発症予防や治療に有効であると信じられてきたが、それを裏付ける根拠はほとんどない。

妊娠中であっても,高血圧や生活習慣病の予防のために、非妊時と同じく1日7.0gを目安とする。

ナトリウムの過剰摂取,カリウムの不足により細胞の水分貯留,血圧の上昇をもたらすため,カリウムとのバランスを考えながら摂取する必要がある。

塩分控えめで薄味でおいしく食べるための工夫

酸味、香り・風味のある香辛料(ショウガ、ネギ、山椒、カレー粉など)

旬の材料、汁物は具沢山に、焼き目で香ばしさをつけよう。

塩味は一点集中、表面に味付け、適量、油の風味とコク、天然のダシの利用することで、塩味を控え風味や酸味・コク・香ばしさ・素材の味を楽しむことができ減塩にもつながる。

ビタミンの種類と多く含む食品

ビタミンの種類と多く含んでいる食品の例を紹介します

<水に溶けるビタミン>

ビタミンB1

肉、豆、玄米、チーズ、牛乳、緑黄色野菜

ビタミンB2

肉、卵黄、緑黄色野菜

ビタミンB6

レバー、肉、卵、乳、魚、豆

ビタミンB12

レバー、肉、魚、チーズ、卵

ビタミンC

緑黄色野菜、果物

ナイアシン

魚介類、肉類、海藻類、種実類

パントテン酸

レバー、卵黄、豆類

葉酸

レバー、豆類、葉もの野菜、果物

ビオチン

レバー、卵黄

<あぶらに溶けるビタミン>

ビタミンA

レバー、卵、緑黄色野菜

ビタミンD

肝油、魚、きくらげ、しいたけ

ビタミンE

胚芽油、大豆、穀類、緑黄色野菜

ビタミンK

納豆、緑黄色野菜

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